▶ ワキガ手術療法

本気でわきがを治したい人の
最も手っ取り早い方法が手術を受けることです。
昔は、わきが治療の手術と言えば、
わきの下の皮膚を切開してアポクリン腺や皮脂腺などの組織を
削り取ってしまうというものでしたが、
現在は治療法も進歩してさまざまな方法が選択できます。

● ボトックス注入法によるワキガ手術
● 電気凝固法によるワキガ手術
● 電気分解法によるワキガ手術
● レーザー療法によるワキガ手術
● 剪除法(せんじょほう)によるワキガ手術
● 皮下組織吸引法によるワキガ手術
● 超音波吸引法によるワキガ手術
● 皮下組織切除法によるワキガ手術
● 皮弁形成によるワキガ手術
● 皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)によるワキガ手術

【ボトックス注入法】


ボツリヌス菌という菌をわきの下に注射し、
ボツリヌス菌が作り出す毒素(ボツリヌストキシン)で
筋肉の収縮を抑えることによって汗腺類の働きを抑えるます。

このボトックス注入法は、メスを使わないで治療できる
というメリットがありますが、およそ半年ごとに施術する必要があり、
数年間かけて汗腺を収縮させていきます。

料金としては一回ごとの施術に8〜10万円程度の費用がかかります。
ボトックス注入法は多汗症の治療としても行われていて、
最近ではかなりポピュラーな方法となっています。
お笑い芸人さんが某番組でこの治療を行っていたのを
ご存知の方も多いと思います。

◆ わきが治療におけるボトックス注入法のメリット
  メスを使わない。価格がお手頃。簡単。

◆ わきが治療におけるボトックス注入法のデメリット
  約半年ごとの定期的な注入が必要。


【電気凝固法】


電気凝固法は、毛穴に針を差し込んだ後、電流を流し、
熱で毛包(毛穴)周辺の組織を焼き固めて脱毛するものです。
エステで脱毛を行うとき、毛根に高周波電流を流して
毛根細胞を破壊してしまうという方法があるのですが、
それをわきがに応用したのが電気凝固法です。
この方法で永久脱毛をすることで、わきがの軽い方なら、
わきが臭がやわらぐ事があります。
毛包を壊す際に、その周囲にあるわきが臭の原因である
アポクリン汗腺も一緒に破壊する事を目的としています。
わき毛が無くなる事で細菌の繁殖場所を減らすという事になり
わきが臭を抑えるには効果的です。

一般的には、手軽、キレイ、と言われていますが、
決して手軽な療法ではありません。
この方法はわき毛の毛穴ひとつひとつに針を差し込んで
治療を行うのですが、その為大変な時間がかかる上に
医師の技量が足りないとわき毛が再生してきてしまったり、
毛穴が火傷を起こし、皮膚がザラザラになってしまう事もあります。

また、この電気療法の効果はかなり限定されてしまいます。
毛包にダメージを与えればアポクリン汗腺は減るのですが、
その多くは残ってしまいます。
何故かと言うと、永久脱毛をしてわき毛を生えてこなくしても
毛包とは別の場所に分布しているのが
わきが臭の元凶であるアポクリン汗腺だからです。
しかも、わきが臭を周囲に撒き散らす事に一役かってる
エクリン汗腺ですが、これは毛包とは全く別の場所に分布しているので、
エクリン汗腺は殆ど残ってしまいます。
つまり、電気療法というのはあくまでも
「わきが臭を少し抑える程度」位に思った方がいいでしょう。
根治は期待できません。

◆ わきが治療における電気凝固法のメリット
  メスを使わない、脱毛できる。

◆ わきが治療における電気凝固法のデメリット
  結構時間がかかる、強いワキガには有効でない、完治は期待できない。
 

【電気分解法】


電気分解法は毛穴一つ一つに細い針を通して電気を流し、
毛包を壊してわき毛の再生を止めるものです。
電気凝固法とよく似ていますが、アポクリン腺や皮脂腺そのものを
破壊するのではなく、分泌口を破壊します。

しかし効果は一時的であることが多く、いつか元に戻ってしまいます。
エステなどではよく行われる治療法らしいのですが、
一部の専門医はこの治療法を疑問視しているようです。
またエステでこれを行う際は麻酔が使えないため、
それなりの痛みも覚悟する必要があり、施術費用も高額です。

電気凝固法と同じく、永久脱毛をすることで、わきがの軽い方なら、
わきが臭がやわらぐ事があります。
毛包を壊す際に、その周囲にあるわきが臭の原因である
アポクリン汗腺も一緒に破壊します。
わき毛が無くなる事で細菌の繁殖場所を減らし、わきが臭を抑えます。

しかし、電気分解法の効果はかなり限定されます。
毛包にダメージを与えればアポクリン汗腺は減るのですが、
その多くは残ってしまいます。

わかりやすく説明すると、永久脱毛をしてわき毛を生えてこなくしても
毛包とは別の場所にアポクリン腺が分布しています。
そして、わきが臭を周囲に撒き散らす事にもつながる
エクリン汗腺なのですが、
これは毛包とは全く別の場所に分布しているため、
エクリン汗腺は殆ど残ってしまいます。
ですので、電気分解法はあくまでも
「わきが臭を少し抑える程度」位に考えた方がいいでしょう。

加えてこの電気分解法には色々問題もあるのです。
一般的には、手軽、キレイ、と言われていますが、
決して手軽な療法ではありません。
その為大変な時間がかかる上に医師の技量が足りないと
わき毛が再生してきてしまったり、毛穴が火傷を起こし、
皮膚がザラザラになってしまう事もあるそうです。
なので、ごく軽いわきがの方が永久脱毛を兼ねて
少しでも臭いを抑えたい場合に試してみるのがいいでしょう。

◆ わきが治療における電気分解法のメリット
  メスを使わない、脱毛もできる。

◆ わきが治療に置ける電気分解法のデメリット
  時間がかかる、強いわきがには有効でない、完治は期待できない。
 

【レーザー療法】


レーザー療法は電気分解法の問題点であった安全面と
確実性を更に改善された治療法です。
強いレーザーを脱毛したい部分に照射して、
皮膚の中の毛包を焼いて毛の再生をストップさせます。
電気分解法に比べ痛みも少なく安定した脱毛効果があるといわれています。

加えて治療時間としても、わきの下に限定すれば
1回で5〜10分程度の照射を数週間隔で5回程度に分けて行うため、
患者にかかる身体的負担も少なくて済みます。
しかし、レーザー治療法の治療効果には個人差があります。

レーザー治療法の効果についてですが、
これは電気療法と同程度のようです。
元々は永久脱毛を目的として考えられた治療法なので、
わきが臭を全て消す事は出来ないのです。
過剰な謳い文句に騙されないようにしてください。
つまり、電気分解法と同じように軽いわきがで手術をする程ではないが、
臭いを少しでも抑えたいという方に向いている治療法といえます。

また、レーザー療法が安全性が高いと言われていますが、
どうしても軽い火傷などを起こしてしまって
色素沈着がおきる場合もあります。
ですので治療後のアフターケアをきちんと行ってくれる
医療施設を選ぶ事が必要でしょう。
永久脱毛というのはあくまでも医療行為ですので、
医療機関以外での施術はお勧めできません。

◆ わきが治療におけるレーザー療法のメリット
  メスを使わない、脱毛もできる。比較的安全で電気分解法よりも
  確実性がある。短時間で済む。

◆ わきが治療におけるレーザー療法のデメリット
  強いわきがには有効でない、完治は期待できない。
 

【剪除法(せんじょほう)】


わきの下の皮膚に数センチの切れ込みを入れ、皮膚をめくり、
医師がひとつひとつアポクリン腺を取り除いていく方法です。
わきの下に数本の傷跡が残るというデメリットがあります。
これには高度な技術が必要となるため、
手術も長時間に及び費用も高額になります。

この剪除法(せんじょほう)という手術法ですが、
これは医師の腕が良ければわきがの元凶となるアポクリン汗腺と
多汗の原因となるエクリン汗腺を確実に取り除く事が出来ます。

手術のやり方を簡単に説明すると、
皮膚に数箇所切れ目を入れその裏側をハサミで少しずつ
切り取っていくという感じです。時間的には両脇でおよそ2時間程度です。

この手術法は相当な技術を必要とし、
医師の技術が低いとエクリン汗腺はもとより、
アポクリン汗腺まで残ってしまい、術後にワキガ臭が再発してしまいます。
皮膚の裏側を切り取る時に薄くしすぎると、
色素沈着や皮膚に穴が開いてしまったり、皮膚が壊死してしまう
危険性もあります。

こういった事態を避けるために、わざと皮膚を厚く残した状態で
手術を終わらせる医師も少なくありません。
合併症が起こって苦情が起こるよりも、
わきが臭や多汗が多少残ってもいいだろうと考えるからです。

この手術法でわきが臭や多汗症に悩まされる事が無くなる確率は
高いのですが、医師の腕によって結果が全く変わってきてしまうので
注意が必要です。

もし剪除法を受けようと思っている方は
腕の良い医師を探す努力が求められるでしょう。
結果腕の良い医師が見つかればわきがや多汗の悩みからは
ほぼ完全に解放されます。

◆ わきが治療における剪除法(せんじょほう)のメリット
  医師の腕次第で完全にワキガから解放される。

◆ わきが治療における剪除法(せんじょほう)のデメリット
  手術費用が高価。手術時間が長い。手術痕が残る。
  合併症の危険性がある。医師の技術差が激しい。
 

【皮下組織吸引法】


わきの下の皮膚に小さな穴を開けて細い管を突き刺し、
汗腺を吸い出す方法です。
傷跡はほとんど残りませんが、根治は難しいといわれています。

そもそも吸引法は美容外科等でダイエット療法の一つとして
行われている脂肪吸引の事です。脂肪を吸い取るというこの方法を
わきが治療に応用しているというわけです。

要するに、わきの下の皮膚を小さく切開して細い管を差込み
脂肪と一緒にアポクリン汗腺も取ってしまおうというわけです。

しかし、アポクリン汗腺は脂肪だけに分布しているわけではないので、
脂肪を吸い取っただけではアポクリン汗腺を
全て除去することは出来ません。

つまり、この方法でもわきがの臭いを
完全に消す事は出来ないということです。
それに加え、アポクリン汗腺よりも浅い場所に分布する
エクリン汗腺は丸ごと残ってしまいます。
多汗症状はそのまま残る可能性が高くなるという事です。

◆ わきが治療における皮下組織吸引法のメリット
  傷痕がほとんど残らない。合併症が起こりにくい。

◆ わきが治療における皮下組織吸引法のデメリット
  強いわきがには有効でない、完治は期待できない。
  多汗症は残る可能性がある。
 

【超音波吸引法】


皮下組織吸引法の問題点を踏まえて、
最近では差し込むパイプの先から超音波を出す器具を付けて、
より吸引率が高い方法が開発されました。それが超音波吸引法です。

これも傷口が小さい為、合併症等は起こりにくいのですが、
医師の技術が低かった場合、
皮膚にダメージが出る事もあるので注意が必要です。

超音波吸引法は今までの吸引法と違い、
超音波により発生する熱の力を使いアポクリン汗腺よりも
浅い場所に分布するエクリン汗腺も破壊出来るのが特徴です。

吸引法よりも効果は高いのですが、やはり全てのアポクリン汗腺、
エクリン汗腺を破壊する事は出来ません。
なので術後にわきがや多汗症が再発する事も少なくありません。

◆ わきが治療における超音波吸引法のメリット
  傷痕がほとんど残らない。合併症が起こりにくい。
  皮下組織吸引法よりも効果が期待できる。

◆ わきが治療における超音波吸引法のデメリット
  強いわきがには有効でない、完治は期待できない。
  多汗症は残る可能性がある。
 

【皮下組織切除法】


わきの下の皮膚に切れ目を入れ、そこからハサミのような
専用の器具で皮膚裏側の組織を汗腺ごと削ぎ取ってしまいます。
術後の跡が残りますし、手術後も入院して両腕を固定しておく必要があり、
それなりの覚悟が必要な治療法です。

わきがの手術の中でも、健康保険が適用されるのが
この皮下組織切除法と皮弁形成手術です。

皮下組織切除法ですが、これはわき毛の生えている部分の皮膚を
皮が縫い縮められるギリギリの範囲を切り取って
わきが臭を生み出す組織を限界まで完全に根こそぎ取ってしまう
という方法です。

しかし、これも残念ながらわきが臭を生み出す組織を
全て取れるというわけではありません。
切除可能な範囲よりもわき毛が生える範囲のが大きいからです。
それでもわきがの臭いは手術前に比べて格段に減ります。

この皮下組織切除法ですが、皮膚を大きく切開するので、
大きな傷跡が残るのは避けられません。
加えて無理に縫い縮める事から、皮膚がつっぱったり、
腕にむくみが出たり、腕の運動障害が残る場合もあります。

さらに難点として、長い安静期間が求められます。
術後は両腕を軽く広げたまま2〜3週間の入院が必要になります。
皮下組織切除法は完全にわきが臭が消えない事と、
術後の後遺症の事がありますので、
選択は慎重に行うようにしましょう。

◆ わきが治療における皮下組織切除法のメリット
  健康保険が適用されるので安価。
  強いワキガでもかなりの効果を期待できる。

◆ わきが治療における皮下組織切除法のデメリット
  完治しない可能性もある。術後の安静期間が長い。
  後遺症が出る可能性がある。
 

【皮弁形成手術】


皮弁形成手術ですが、これは先ほどの皮下組織切除法による
後遺症のリスクを減らす為に、皮膚をZ型やW型に切ることで
腕の引きつった感じを防ぎます。
この方法も皮下組織切除法と同じく全てのわきが臭が
消える事はありません。

わきがの手術の中でも、健康保険が適用されるのが
この皮弁形成手術と皮下組織切除法です。

さらに難点として、長い安静期間が求められます。
術後は両腕を軽く広げたまま2〜3週間の入院が必要になります。
皮弁形成手術は完全にわきが臭が消えない事と、
術後の後遺症の事がありますので、
選択は慎重に行うようにしましょう。

◆ わきが治療における皮弁形成手術のメリット
  健康保険が適用されるので安価。
  強いワキガでもかなりの効果を期待できる。
  皮下組織切除法より後遺症が少ない可能性が高い。

◆ わきが治療における皮弁形成手術のデメリット
  完治しない可能性もある。術後の安静期間が長い。
  後遺症が出る可能性がある。
 

【皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)】


わきの下に数センチの切り込みをいれ、
キューレット(刃のついたスプーン状の器具)を
さしこんで汗腺を掻きだす治療法です。
皮下組織切除法などと同じく、入院が必要となります。

皮下組織切除法と違い、小さな切開で済むのが
皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)の特徴です。
わきの下の中央部に小さくメスを入れ、
キューレット(刃のついたスプーン状の器具)で皮膚の裏側を削り、
アポクリン汗腺を取り除きます。切開部が小さいので回復が早く、
傷跡が目立たないのも特徴の一つになっています。
しかし、肝心のわきが臭の方はというとこれも多少残ることがあります。

この手術ではアポクリン汗腺は半分取れれば
大成功というレベルだそうです。
ですから、わきがの臭いや多汗が少々残っても、手軽に出来て、
傷跡が残りにくい事を優先させたい人はこの方法を
考えても良いかもしれません。

なお、この手術は医師の技術が低いと手術中に皮膚が傷ついたり、
なんらかのトラブルが起こる可能性もあります。
いずれにしてもわきが臭や多汗症を確実に治したい方は
別の手術法を選んだほうが良いでしょう。

◆ わきが治療における皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)
  のメリット

  手術痕が小さい。回復が早い。手術としては手軽にできる。

◆ わきが治療における皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)
  のデメリット

  完治は期待できない。


このように、わきがの手術にはいろいろな方法があります。
気をつけて欲しいのは、ここで書いてある事が最新情報とは
限りませんので手術を検討される場合は、
各自信頼できるクリニック選び、それぞれの方法のメリットデメリット、
費用や入院の要不要など事前に十分調べておいたほうがよいでしょう。
手術費用は両脇でおよそ40万円ぐらいの費用は
見込んでおいたほうがよいと思います。手術はやはり高額になります。